要点の構造的理解を必要とする談話①

学術的な場面では,なんとなく聞いていると要点がつかめないという談話が多くあります。そこで語られていることの要点を構造的に理解できていないと,キーワードを強調できないばかりでなく脱落させてしまい,意味のつかめない訳出となってしまいます。
ここでは,所有権保護が持つ経済的な意味について論じていますが,2つのことを構造的に理解しておくことが必要です。

1つは,所有権保護には,(1)市民相互の取引における契約の執行を担保する,(2)国家の恣意的な財産侵害を行わないようにする,の2つの意図があることです。ここがしっかり理解されていなければ,続くそれぞれの例について,お金や物の流れ,誰から誰に,といったことを訳出できなくなってしまいます。
もう1つは,所有権保護が担保されない,つまり契約の執行が担保されないとどういうことが起きるのか,といった経済的な流れの構造です。この部分の本筋はモデル通訳で取り上げた場面以降に続いていますが,国家による恣意的な搾取の事例の話において伏線となっていることを意識する必要があります。

事前準備をすることの大切さとは,このように要点を構造的に把握しておくということでもあります。

  • 群馬大学手話サポーター養成プロジェクト室
  • 関西学院大学 手話言語研究センター
  • 学術手話通訳研修事業