概念的な意味理解を必要とする談話②

「法的三段論法」という,一言では説明することが難しい概念的な内容について語られている場面です。「法的三段論法」の考え方について理解できていないと,ポイントのよくつかめないうやむやな訳出となってしまいます。こうした場合,「法的三段論法」という用語だけを調べていても今ひとつ雲をつかむような状態になってしまいがちです。「法的三段論法」についてWikipediaではこのように説明されています。

===================

古代ギリシアのアリストテレスの論理学を淵源とし,その後,一般的な法と正義を実現するものの中核として位置付けられた。つまり,これによって全般的な法による秩序維持と正義が実現されるものと捉えられていた。しかし,近代社会の法概念によって,法に胚胎される正義と法的論理によって導かれる正義の相違が自覚されるようになり,法的三段論法は後者を担うものとして捉え直されるようになった。
法的三段論法は,抽象的なルールとしての法規範を,生活関係(Lebensverhältnisse)に当て嵌める形式として捉えられる。これがいわゆる法の適用である。大体次のような手続を踏んでなされる。 法規範を一つ一つの要件と効果に分解し,それぞれ解釈するが,この解釈とは,分解された要件および効果を価値判断によって,ひとつの法的価値としてまとめあげることである。したがって,解釈者の経験や法的世界観によって異なる可能性はある。
生活関係を一つ一つの事実に分解し,上記の法規範の要件にあてはめ,妥当であれば,事実は要件に包摂されたことになる。この包摂に際しても価値判断がなされる。上記の価値判断は解釈の方向性,すなわち解釈において何が優先されるべきか等を与えるのに対して,この価値判断は事実関係における利害的調整を主な目的とする。なお,上記と同様にこれらは解釈する者によって異なる可能性はある。すべての事実が要件に包摂されたとき,効果は明らかとなる。
これをまとめれば,

第一段階 定立規範の要素的分解
第二段階 具体的事実の要素的分解および定立規範へのあてはめ
第三段階 結論

の三つの段階を経て,法的結論に至ることから法的三段論法と呼ばれるのである。
ここで注意しなければならないのは,この法的三段論法とは,法的価値判断による三段論法であり,いわゆる価値判断を含まない論理学の三段論法とはその結論が異なることである。すなわち,法的三段論法とは論理的で価値判断を伴わない結論(結果)を求めるのではなく,多くの場合,結論(結果)を正当化するために使用される手段であるということである。

====================

このように説明されているわけですが,何のことなのか,わかるようなわからないような話ですね。こうした場合,具体的な法的トラブルにおける判決事例を,スライドの図を見ながら法規範の「要件」と「効果」にあたるものは何か,帰納法的に理解していくのも概念をつかむ上で有効な1つのやり方です。

  • 群馬大学手話サポーター養成プロジェクト室
  • 関西学院大学 手話言語研究センター
  • 学術手話通訳研修事業